そう言った自分の声が少し震えていて、 唇を結んだあたしは、合わせた両ヒザを抱えてうつむいた。 「オレさ、人のものに手ぇ出すような真似って好きじゃないんだけど、」 先輩の声が、波音の隙間に聞こえる。 「そんなに寂しい思いさせるような彼氏と無理に遠恋する必要ないんじゃない?」 「……」 無理……なのかな、やっぱり。