「……」 「眞緒ちゃん? どした?」 一瞬黙り込んだあたしの顔を、先輩がのぞき込む。 「いえ……その、花火、キレイ……ですね」 「うん、キレイだね」 最後の線香花火を持って並んでしゃがみこむと、 あたしと先輩の手元だけが明るく灯った。 波音が、暗闇の浜辺に響く。 丸くて小さな灯がぽとりと落ちると、 淡い月明かりに反射する波の色しか見えなくなった。