「幸せそうだな……菜月ちゃん……」 ハル兄との微妙な隙間が出来てしまったあたしの口から、 ため息交じりの声が漏れる。 「よし。じゃあ、今日はオレと遊ぼう」 「え?」 「教えてあげるから、ボディボード」 「いや、いいです、いいですっ。足手まといになって、先輩に迷惑かけちゃいますし」 「指きりしたじゃん?」 「え?」 「ボード教えてあげるよって」 「あ、ああ……」 肝試しをした夜、そういえば指きりしたんだ。