“気をつけて帰れよ”



改札で別れる時に掛けられた声にも、いつもみたいな温かさは含まれていなかった気がする。



ひとりぼっちで到着した東京駅の新幹線ホームで、


泣きそうになる唇をぐっと結んでガマンしていたけれど。



乗り込んだ車窓から遠ざかっていく東京の景色を眺めているうちに、


いつの間にか涙がこぼれていた。