ページをめくる音と、ペンが走る音。 そして、秒針だけが静かに聞こえる。 (ハル兄……) こんな時間から机に向かう背中を見つめていると、じわじわと涙が込み上げてきた。 本当は、「ごめんね」って言いたい。 お仕事、大変にしちゃってごめんねって。 だけど、 かまってほしいっていう気持ちが強いから、何も言えない。 なかなか寝付けないベッドの上で、 枕に顔を押し付けたあたしは、気づかれないようにそっと涙をぬぐった。