……どんな会話をしながら、飲み物を口に運んだんだろう。


問題が解けて喜ぶ女の子を、どんな顔で褒めてあげたんだろう。


どのくらい、目が合ったんだろう。


笑顔を交わしたんだろう。



そんなわけないけど、バスルームの中にも女の子の影を探してしまったりして。


心はどんどん沈んでいく一方だった。



「上がったよ……」



お風呂から出て、ハル兄の背中に声をかける。



資料がいっぱい積まれた机に向かっていたハル兄は、


ぐっと伸びをしてからあたしに振り向いた。



「お前はもう寝ろ」


「え?」