何のとりえもないあたし。 そのうち、あきられちゃうかもしれない。 離れてる間に、東京の女の子にハル兄を取られちゃうかもしれない。 そんな想いが、心をぐらぐらと揺さぶっている。 「……自信ないよ、ハル兄」 「……ん?」 「あたし……遠距離続けるの、自信ない」 「……」 電車に乗ったあたしたちは、 アパートに着くまで、ずっと無言のままだった。