「悪いな。終わったら電話するから」 「うん……」 「荷物、置いていくか? 重いだろ?」 「うん……」 お泊まり用のバッグを預けると、パタンと扉が閉じられた。 背中に広がる夕焼けが、あたしの影をドアに映し出している。 自分の黒い影を見つめながら、 あたしはしばらくの間、ぼんやりとそこに立ち尽くしていた。