ふと、ハル兄の視線が足元に落とされた。 それを追って目を向けた玄関には、 ハル兄のくつと……女性物のサンダルが並んでいた。 「……え?」 ……なんで? 「今な、生徒が来てるんだよ」 「……生徒?」 「うん。予備校の教え子」 ハル兄の顔に、困った表情が浮かんでいる。