「どーすんだよお前、この花びら。簡単に取れねーぞ?」 「いいもん。こんなことめったにできないし。てか、1年に1回しかできないし」 「まあそうだけど」 「なんかさ、桜餅の中のあんこの気持ちが分かる」 「はあ?」 「その時期に桜餅になれるあんこって幸せだよね」 「なんだそれ」 お腹を震わせて、ハル兄はケラケラと笑った。 そして、 伸びてきた長い指が、あたしの髪をそっとすく。