愛してんで



臣「居ったーーっ!!みんなーっ、奏が居ったでーーっ!!」


臣の声は、港中に響き渡った。
一瞬、全ての音が止まった。


足は、自然にアスファルトを蹴り、大きな飛沫を上げ、声の方へと駆け出した。

臣は、奏を抱き起こすと頬をパチパチと叩く。


奏「…んっ…」


〈奏っ!!〉


奏「嫌ぁぁぁぁっ!!1人に、せんといてっ!!怖いねんっ!!何処へも行かんとってっ!!お願いっ、お願いやからぁぁぁぁっ!!」


激しく泣きじゃくる奏の姿を見て、涙が溢れる。


小さな手が、必死に何かに縋ろうと空を舞う。


こんなに不安を抱えながら、笑顔を向けていた奏の姿を描くと、涙が止まらなかった。