寮が静まり返った頃、奏は1人キッチンへと向かう。

明日は、クリスマス。

そして、潤と燿とのお別れの日。

奏は、ご馳走を用意して送り出そうと、キッチンへとやって来た。


奏「クリスマスやからなぁ~。何がえぇやろ?」


冷蔵庫をのぞき込むと、奏の影がユラユラと揺れる。


「奏…?」


《ビクッ》
奏「うわぁぁっ!!」


誰も居ないと思っていた闇の中から聞こえた声に、体を強ばらせた。


奏「りゅ、隆太っ!!何やの、急にっ!!脅かさんといてやぁ~」


隆「ごめん。何やってんの?」


声の主に安心したのか、奏はヘナヘナと座り込んだ。


奏「明日、クリスマスやんか。潤と燿、楽しみしとったし、明日は千里さんと帰るんやろ?パーッと送り出さなアカンと思って…なっ」


隆「奏…ありがとう。ちょっと、話さね?コーヒーでも入れるから。」


奏「えぇよ。」


隆「じゃっ、ソファーに座ってて。」


奏は、ソファーへと向かい、隆太はキッチンへと向かう。