隆「んで、今まで何してたんだよ。」


夕食の時も、片時も離れなかった潤と燿は、疲れてソファーで眠っていた。


ダイニングテーブルでは、千里を囲むようにみんなが座っていた。


千里は、俯き黙ったまま何も話さない。

隆「言わなきゃ分かんねえだろっ!!何で、2人をほったらかしにしてたんだよっ!!」


昂「隆太っ!!言い過ぎやぞ。落ち着きや…」


普段、温厚な隆太が声を荒げ、昂が宥めた。


千里「…和樹が亡くなったの…」


千里の言葉に、奏の肩がピクリと反応する。


千里「…和樹、交通事故で3ヶ月前に…和樹の両親が2人を引き取るって言われて…和樹が居なくなって、潤と燿も失いたくなくて…和樹の両親を説得して、実家にも頭下げに行って…周りに1人でも、潤と燿を育てる事を納得してもらう為に、必死になって…頼れるのは、隆太しか居なかったから…本当に、ごめんね。これからは、ずっと一緒に居れるから…本当に、ごめんなさい。」


頭を上げた千里の目は、力強く一点の曇りも無かった。


これからは、大切な人を守る力に溢れていた。


奏「今日は、私の部屋を使って下さい。久々に3人一緒に寝て下さい。私は、おばちゃんの部屋があるし…先に、休んで下さい。」


千里「ありがとうございます。」


深々と頭を下げると、千里は2人を抱きかかえ、奏の部屋へと向かった。


みんなは、その姿を見送ると各々の部屋へと戻る。