初雪の日


隆「奏、ショーへーから手紙。」


奏「あっ!!多分、通知表やわ。結局、終業式まで休んでもうた。」


隆太から、茶色い封筒を受け取ると、困った様に笑う。


隆「ごめんな…」


しょんぼりと肩を落とす隆太を見て、奏は肩に、そっと触れる。


奏「気にせんで。一緒に居んの、楽しいんやから。」


隆太は、笑顔で告げる奏の肩に、頭を預けた。


奏「隆太…?」


隆「俺、みんなが居てくれて、良かった。」


奏「それは、私も一緒やで。」


背中に手を回すと、小さい子をあやす様に、ポンポンと叩く。


隆「奏、俺…」


奏「ん?何?」


隆太は、静かに頭を上げると、奏を見つめた。


隆「俺…」


昂臣柚綾佳大平
「「隆太、やぁ~らしぃ~」」


燿潤
「「やぁ~らしぃ~」」


7人に続く様に、燿と潤が、からかう。

その瞬間、隆太は奏から飛び離れる。


奏「からかわんといて。燿と潤が来てから、毎日誰かとくっつけられるんは、飽きたわ。」


奏は、燿と潤の頭を優しく撫でると、キッチンへ消えて行く。


リビングでは、恒例のウルトラマンごっこと、お絵描きが始まる。


臣と柚は、2人の目を盗み、キッチンへ向かう。


柚「手伝うで。」


臣「俺も。」


奏「ほんま?!じゃあ、臣はジャガイモの皮剥いてくれる?柚は、白滝とお豆腐の水切って、食べやすい大きさに切ってくれる?」


臣「よっしゃっ!!」


柚「分かった!」


手際良く作業をしていると、臣の手がピタリと止まる。


臣「奏。明日、俺らとデートせぇへん?」


奏「デート?何でやの?」


柚「明日は、クリスマスイブやろ。燿と潤に、プレゼント買うてやりたいねん。」


奏「そっかぁ、一番淋しいのは、あの子らやもんなぁ…分かった。デートしよ。」


奏は、みんなの優しさに、頬が綻んでいた。


小さい小さい笑顔は、大きな大きな笑顔に守られていた。