「ね、ねぇ・・。ホントにここ入んの?」

「面白そーじゃん。あ、そういやここさぁ。マジで出るらしいよ。」

「な、何が!?」

「“お化け”。」

「ひぃっ・・!!」

もー、ヤダヤダヤダヤダ・・・。

ちょー怖いっ!!

「あ、ちょっ・・・。おいてかないでよっ・・・。」

瑠輝は、わざとなのかなんなのか

あたしをおいて、先に歩いていってしまう。

真っ暗で、足元見えないし

先もよく見えなくて、瑠輝の姿まで、見えなくなってきた。

「ちょ、瑠輝っ!・・・きゃあぁ!!」

無理に瑠輝について行こうとして

足を踏み出したところ・・・

何かに肩を叩かれた。

「おわっ・・。ど、どした?」

「手ぇ、出てきたぁ・・・。」

あたしは、思わず瑠輝の背中に抱きついた。

瑠輝は、なんだか驚いているみたい。

「・・・やっぱ怖えーんじゃん。」

「・・・わかってたくせにぃ・・。」

あたしが怖いのダメなの知ってて

ここに入ったんでしょ?

「な、何泣いてんだよ・・・。」

「泣いてないもんっ・・。グスッ・・・。」

瑠輝の体温に安心したのか、

それとも誰かがいてくれたのに安心したのか。

あたしの瞳からは、涙が零れ落ちた。

「ったく・・。いいかげん泣き止めって。」

瑠輝は、少し困ったように

あたしを抱きしめた。

そして、

おっきくて、あったかい瑠輝の手が

あたしの頭を優しく撫でた。

「っ・・・。あ、ありがと・・。」

「いいから。ちょっと落ち着け。」

「うん・・・。」

あたしは瑠輝の腕の中で

ふぅ、と深呼吸した。