あたしがドアを開けた瞬間。

丁度、瑠輝が

あたしの家のインターホンを、押そうとしていた

ところだった。

「はよ、芽紅。」

「ちょっと、何インターホン押そうとしてんのよ。」

「いや、さっき行くって言っただろ?」

瑠輝は、

「まぁ、いいや。早く行くぞ。鞄かせよ。」

と、言ってあたしの横に並んで

エレベータに乗る。

「い、いいよ。別に。」

「何遠慮してんだ?俺が持ちてーんだからいいだろ?」

鞄くらい、自分で持つってば。

そう言おうとしたのに

ひょいっと鞄を奪われてしまった。

「ぼーっとしてっと遅れるぞ?」

「あっ。ゴメンっ。」

マンションを出て、いつもは1人で歩く道を

瑠輝と並んで歩く。

・・・なんか変な感じ・・。

「芽紅、手。」

「手?」

「わかんねぇ?手ぇ繋がせろって言ってんの。」

瑠輝は、ぱっと開いた手を

あたしに差し出した。

「ほら、早く。」

「わ、わかった。」

あたしは、そろーっと

瑠輝と自分の手を重ねて

きゅっと握った。

「こ、これでいい?」

「そうそう。ちゃんと覚えてんじゃん。」

だって、ふつーに握ったら怒るじゃん。

てか、違うって言って

繋ぎなおすじゃん。

どうやら瑠輝は、恋人繋ぎが好きなようで

これからは多分

ずっとこうやって繋ぐんだろうな。

まぁ。

嫌いではないからいいけど。