「俺のこと、わかる?」

あたしが行った途端、そんなことを言ってくるこいつ。

知るわけないじゃん。

会ってないもん。

「知りませんけど。」

「朝、俺が人ごみから守ってやったのに?」

・・・人ごみ?

あっ!

もしかして、この人が後ろにいたの?

「えっと・・。あたしの後ろにいました?」

「当たり。あんた、先輩だったんだ。」

「あんたは、後輩?」

「そーですけど?」

むぅ・・・。

後輩の癖に、態度でかい奴。

「とりあえず、自己紹介。俺、黎俄瑠輝。あんたは?」

「・・・桐島芽紅。」

「いい名前じゃん。よろしくな。」

「まぁ、よろしく。」

なんであたし、自己紹介してんだろ・・・?

意味わかんない、こいつ。

「俺、お前のこと好きなんだけど。」

「はいっ!?」

こいつ、今告白したっ!?

会っていきなり、どうゆうことっ!?

「なっ・・・。ななな、何それっ・・。」

「お前、可愛いし。俺の好みだし。だから。」

「あ、あたし、好きな人いるし。それに、年上が好きなの。」

「見た目的には、充分だろ?」

・・・そりゃあ

背、あたしよりもずっと高いもんね。

20cmくらい?

「俺のどこが不満?」

「あ、会ったばっかりだし。あたしには、初恋の人がいるから。」

だから、つき合えるわけないじゃん。

見た目とか、そうゆうんじゃなくて

中身の問題でしょ?

「だから、つき・・・。」

つきあえません。

そう言おうとしたとき。

「まだ返事には早えーだろ?」

そう、こいつは言って。

“俺のことぜってー好きになるから”

耳元で囁いて、あたしの頬にちょんっとキスして、

どこかに歩いていった。