そんなつもりはなかったのに、思ったより冷たく出たセリフは野原を黙らせた。
冬の夕焼けが綺麗に俺と野原の髪を染める。
最近は1人だった帰り道。
車道側を歩くことにも、歩幅を小さくするのも、表情を和らげるのも心地よかった。
「…由麻」
何年ぶりかにそう呼ぶ名前も悪くない。
「うわ、不意打ちなんだから…」
「気が向いたら呼んでやるよ」
祐磨には甘えてしまう俺でも、野原…じゃなくて、由麻の前では大丈夫そうだ。
「あ、前にいるの…神奈たちじゃない?」
「え?」
ふと前を見ると仲よさそうに手を繋ぎながら歩いてる祐磨の広い背中と、真冬の夏スカートが歩いてた。