シャワー室から出ると神奈はまだ入っているようでシャワーの音が聞こえた。
「あれ…紫音?」
シャワー室の外のベンチに座っていた紫音が俺の声に気付いて振り向く。
なんだかいつもの元気はなくて、寂しい目をしてる。
「祐磨、マジごめん…」
「え?」
「野原…のこと」
「なんで紫音が謝るんだよ」
紫音の横に座って髪を拭く。
「…野原、俺の幼馴染でさ、昔…あいついじめられてたんだよ…」
「野原が…?」
「あぁ。俺、幼馴染だし色々相談されてて…あいつ友達いなかったし。だから、唯一の味方だったんだけど」
そう言った紫音は本当に悲しそうでどう表現していいかわからない。
「だけどさ、俺に相談してるのがバレて…俺がターゲットになったんだよ。お前ら出来てんだろって」
今の俺らの状況に似てるのか、気まずそうに話す紫音。
…俺だってどうしていいかわからない。
野原だっていじめられる辛さを知ってるなら、自分ではやらないはずだろ?

