「じゃあ俺、帰るわ」
「…あ、うん」
先に立ちあがった祐磨君を見上げるとずっと遠いところに顔があって…何だか距離を感じた。
それが嫌で私も急いで立ち上がる。
「外まで見送るね」
「いや、隣だし(笑)」
「いいの!」
クスクスと笑いながら玄関に向かっていく祐磨君の背中が広い。
靴を履こうと少し下を向いた祐磨君の背中にコツンと頭を預けてみた。
「ん…? どうした?」
「ううん……」
下を向いたまま動こうに動けないであろう祐磨君からぐぅ~っとお腹の鳴る音が聞こえた。
「…お腹空いたの?」
「ん」
「今から作るけど、食べてく?」
「いや、いい…」
下を向いたまま、背中に伸びてきた祐磨君の手は上手に私の頭の上には行かず、耳を掠めて行った。

