「上がる?」



 祐磨君は開いた扉の奥を指さして微笑む。




 いやぁ…さすがにマズイでしょ。




 私でも少しは抵抗がある。





 そのことに気付いたのか、祐磨君はニヤッと笑った。





「何ビビってんの? 誰も神奈みたいな幼児体型に興味ねぇから!」

「…し、失礼な!!」

「上がれば? つーか、上がれ」

「…待って、部屋汚しちゃうといけないから着替えてくる」




 引っ張ろうとする祐磨君の手をそっとどけて言う。




 制服はコーヒーの匂いもするし、雨でびしょびしょだし。





 帰り道はびっくりするくらい晴れてきて、少し乾いたけど生乾きの匂いが臭い。




 チョークの粉も着いてるし。




「別に気にしなくてもいいのに」

「私が気にする」