「家、どっち?」
「あっち…だけど。ホントにいいって!」
「俺が怒る前に黙って送られとけ」
そういう祐磨君には独特の雰囲気が漂ってて、頷くしかなかった。
二人で並んで歩く帰り道は、2週間の孤独さが消えるみたい。
そんなに会話もしないし、深刻な話もしない。
だけど安心感がある。
それだけは確実で、未だに掴まれてる腕も手を繋いでるなんて言える状況じゃないけど…何よりも心強かった。
「…ここまででいいよ。もうこのマンションだから…」
「え、ここ…?」
私がそう言うと祐磨君の手の力が緩んで、私の腕は重力に従って落ちて行く。
「…ここ、だけど」
「俺も同じマンションなんだけど…」
「あー…そうなの?」
「おぅ…」
気まずそうに返事をする祐磨君に申し訳なくて、先に足を進めた。

