愛想を振りまいて、その場を離れる。 一瞬見えた祐磨の顔は、苦しそうな表情をしてた。 「ただいまー」 出来るだけ小さな声で呟いて、靴を脱いでてーブルに買い物袋を置く。 寝室に入るとまだ静かな寝息を立てて、寝ている神奈を見て自然と頬が緩む。 ときどき眉間にしわを寄せて唸る神奈のお腹辺りを軽く叩いてみる。 「…ん、祐磨…君…」 神奈から出てくる男の名前は俺じゃないけど、そんなの仕方ないことで諦めは着いてる。 …はずなのに、胸が苦しかった。 「神奈…」