私からケータイを奪う。



「…な、んで……」

「屋上行ってみたかったから」

「…そっか。じゃあ私は行くね」



 彼からケータイを受け取ると扉に向かう。




「あ、ちょっと待てよ」

「ん?」

「こっちきて」



 腕を引っ張られて屋上の真ん中に来た。




 風は冷たいけど日は温かくて、落ち着く。




「空、広いだろ…」

「うん…」

「世界はもっと広い。いいこともあるから…」




 そう言って私の頭にポンっと手を置く。




 もしかして……





「励ましてくれてるの?」

「ん…」

「…ありがとう」



 彼のほうを見てお礼を言う。