二人が小さく笑いあってるときにそっと離れる。
だけど、後ろが気になって振り返る。
既にそこには神奈達は居なくて、数人の歩行者。
「祐磨―?」
帰り道の方向から走ってきたのは楓さんで、少し悲しい顔をしながら俺を見る。
「どうかしたの? 恐い顔して…」
「…なんでもない」
俺の腕に絡まった楓さんはにこりと笑う。
「何もないならいいの。……でも…もし、神奈ちゃんの事を引きずってるなら…私が忘れさせてあげる…」
…楓さんなりの慰めが痛い。
俺の心に穴をあけて、えぐってくる。
神奈との現実を突きつけられる気がした。