王様男子

　神奈は目を細める。





　口元は震えてるけど、きっと笑ってる。







「…祐磨君、幸せになってね?」






　俺が…?






　俺は神奈がいなきゃ幸せになれねぇよ。







　だけど、神奈は違うもんな。






「…おう」





　そう返事をしとかなきゃ。






「楓さん、祐磨君をお願いします」





　さっきほど唇は震えてなくて、楓さんへの笑顔は本物。





「神奈ちゃんも幸せになってね」





　楓さんはそう言うと俺の腕を引っ張って部屋を出て行く。