体育の授業で膝を悪くした私は手術を受け、夏休みだというのに暫くの間は病院生活を余儀なくされてしまった。


左足には固く窮屈なギブスを付けられ、動く事が酷く面倒臭かった。


院内を歩き回ってもたいして面白くない為、ベッドから出るのは大抵決まった時間だった。


リハビリの時、トイレの時、髪の毛を洗う時だ。


友達がお見舞いに来てくれても、みんな気を遣ってくれて、友達が帰るときはいつもベッドに腰掛けたまま見送った。


持ってきて欲しいものがあり、ある日の夜私は親に電話をかける為病室を後にした。


個室ではなく大部屋にいた為、流石に部屋で電話をかける訳にはいなかった。


携帯電話を手に持ち松葉杖で体を支えながら、電話をかけられる場所へと移動した。


消灯時間が過ぎていたからか、病室を出た廊下は薄暗かった。


非常口のライトが目立つ程に。