私がまだ中学生だった頃のとある夏の日。


連日猛暑と言っていい程暑苦しく痛いくらいの陽射しが降り注いでいた。


そんな中を険しい顔をして歩いてる人。


ハンカチで汗を拭きながら歩いてる人。


飲み物を飲みながら歩いてる人。


とにかく色んな人が歩いていた。


冷房のきいた快適な部屋の窓から外の様子を見下ろす事が、日課になりつつあった。



「雨宮さん」

「はぁい」

「カーテン開けますね」

「はぁい」



ベッドを囲む様に広げられた真っ白なカーテンが開くと、笑顔の看護師さんが顔を覗かせた。


手にはプラスチックのトレーを持っていた。


トレーの上には様々な形大きさの、これまたプラスチックの容器がのせられていた。


全て白で統一されている。


清潔感のある色だが、これだけ白が揃うと色みがない事が少しだけ寂しいような気がした。