独りじゃないよ

彼が笑う中、山田君とはしゃいでいると、ホテルの敷地内をじーっと見ている青木君が気になった。



「どうしたの?」

「誰かいる」



こんな真夜中に私たち以外に人が?


みんなでホテルの敷地内を目を凝らしながら見ていたら、確かに結構な人数の人が蠢いていた。


ライトも点けないでよくあんなところにいられるな……。



「おーい、何してんの?」



えっ!?


いきなり青木君がその集団に大声で話し掛け、ギョッとした。


変な人だったらどうすんの!?


たむろっている人達は青木君の声に反応し、全員が一斉に私たちの方へ視線を向けた。


ライトが次々と点き始め、薄暗かった場所が多少明るくなった。


うわぁー……まさかの不良集団……。


気にしてるのは私だけらしく、青木君、山田君、そして彼は気にせずその集団に近付いて行く。


彼はまだ喧嘩では負けた事がなく、ああいう集団もなんて事ないんだろう。


立ち止まったまま動こうとしない私に気付いた彼が、振り返った。



「どうした?」

「私此処で待ってるから、行ってきていいよ」



不思議に思った彼は戻ってきて、私の顔を覗き込んだ。