独りじゃないよ

車通りの少ない道を暫く走っていると、前を走っていた山田君がバイクを止め、私の彼も続く様にバイクを止めた。


目の前には友達の間で噂になっている廃墟のホテルが建っていた。


薄暗い雰囲気が手伝ってか、本当に不気味としか言いようのない雰囲気だ。


山田君と青木君がバイクを降りると、彼もバイクをおり始めた。


何故か私はバイクを降りたくなかった。



「未亜ちゃん」



青木君に名前を呼ばれ顔を向けると、突然の眩しい光に目を瞑った。



「ちょっと!! 不意打ちで撮らないでよ!! 絶対変な顔してたぁー」

「いつ撮っても一緒だって」

「それ酷くない!?」



大口開けて笑う青木君につられて、私も自然と笑い声が漏れた。


青木君のお陰で少し気が和らいだかも。



「二人並べよ」



青木君にそう言われ、バイクから降りようとする私の手をとってくれる彼。


危なくないようにと気遣ってくれる彼が好き。


彼にぴとっとくっつくと、青木君が今度はちゃんとカメラで撮ってくれた。



「バカップル」



山田君がボソッと呟き軽く肩をベシッと叩くと、更にからかわれて二人でギャーギャー騒ぎまくった。