独りじゃないよ

外灯だけの薄暗い道路。


車もほぼ通らない。


道路から見渡せる広い海。


黒く揺れる海が不気味に見えた。


離れた場所を走っているのに、触れられない距離にいるのに、何故だか飲み込まれてしまいそうな衝動にかられ私はパッと顔を反対側に向けた。


いったい何時からだろう。


みんなと合流して、出発した時は何らいつもと変わりなかった。


だけど今は違う。


不安……胸騒ぎ……何て言う言葉で現せばいいのかは分からないけど、とにかく心が落ち着きを無くしていた。


どうすれば今のこの状態を良くできるのかも分からない。


私は彼の背中に自分の体を押し付ける様に、ギュッとしがみついた。


彼なら今の私をどうにかしてくれるじゃないかとでも言うように。


彼の手が私の手に触れた。


手袋を着けていない手は、風に当てられていた為冷たかった。


ゴツゴツした大きな手は私の手を握り、直ぐ様単車のハンドルへと戻された。


私の異変に気付いてくれているのかもと思うと、それだけで心が少し落ち着いた。