「山田たちが暇ならどっか行こうって言ってんだけど」



私は仕方なくリモコンの一時停止ボタンを押し、画面の動きが止まったのを確認すると彼の方へと顔を向けた。


電話の通話口を手で塞いでいる彼。


どうやらまだ電話は繋がっているらしい。



「山田たちって事は他にもいるの?」

「あと青木がいるって」

「ふぅーん……」



暇っちゃ暇だがDVDの続きが気になる。


でも続きはいつでも見られるし、何より彼は退屈そうだった。



「いいよ、どっか行こう」



そう言うと彼は嬉しそうに電話の相手……山田君もしくは青木君……と楽しそうに再び話始めた。


彼が電話に夢中になっている間に、私はだらしない部屋着から外出着に着替えた。


それから顔にも化粧を施した。


何処に行くかも分からないのに流石にスッピンで出掛けたくはない。