私はその場で固まるだけで何もできなかった。
隼斗は「チッ」と嫌みったらしく舌打ちをすると、教室を出ていってしまった。

何で舌打ち?

そして隼斗はあのブリッコ女がいるクラスに向かって行った。

私は目を見開いたまま。
クラスの皆は不思議そうに私を見る。

本当にもう……隼斗とは無縁の関係になっちゃったんだ。

隼斗は私よりあの女を獲ったんだ。私よりあの女の方がいいんだ。

だったら、これ以上私が隼斗を好きでいても意味ないんじゃない?隼斗が私の事を好きじゃないんならなおさら。

だから、私は隼斗を忘れなきゃ。私だけが好きでいるなんて馬鹿じゃない。

そして、私の頭にはある人の顔が浮かんだ。

……勝也君。

勝也君は私の事を尊敬しているみたいだったけど、どうも好意を持ってる気がする。

それに勝也君はいつでも明るいし、一緒にいて退屈しなさそうだしね。

──私は放課後、勝也君を中庭に呼び出した。

少しするとニコニコしながら手を振って走ってくる勝也君の姿が見えた。

私も微笑みながら手を振り返した。