「…待っててあげなさいよ。」


「は?」

急に背後から話かけられた。

思わず、驚いた。


振り返ったら、そこにはシノが居た。


「…あんたがラルに早くコートに

戻ってきて欲しいのは分かるけど、

ラルにも、時間が必要なのよ。」

ラルを優しい目で見ながら、

シノはポツリポツリと言葉を漏らす。


時間…。


「よっぽど硬い決心だったんじゃない?

好きなモノを辞めるってことだから。

その決心ってゆうのは、

年月が経てば経つほど硬くなる。」

ふと、

前にラルが言った言葉を思い出す。


『――バスケを…今の今まで

  必死に積み上げてきたものを

  憎まなきゃいけないなんて、

  考えられる?』

……ラルの、硬く、哀しい決心。


「でも、サク。あんたは凄い。」


「は?」