困ったような微笑を浮かべながら、紳士的だけど変人的な彼は言う。


「俺、トーヤって言うの」

「はあ、そうですか」

「自分で聞いてきたくせにいざ名乗ったらその薄い反応ってどうなの」

「…………。っていうか、何か用ですか?」

「軽く流されたことに対して俺は少なからずショックを受けたけどまあそれは水に流そうじゃないか」

「意味わかりませんから」


ホント、意味が分からない。

なんであたし、こんな変人紳士に絡まれてんの。

コンビニの駐車場に居たのがいけなかったのか。

だって怒りの熱が冷めたら、足が動かなくなっちゃったんだし。

しょうがないじゃん。

あたしは何故か絡んでくる変人紳士、名前をトーヤと言うらしい彼から目を逸らし、アスファルトを見下ろした。


「……用がないなら、構わないでください」


今は、誰とも話したくないし。

だからわざとうつむいて、膝に顔を埋めたというのに、


「そういわれると、構いたくなるよね」


このトーヤとかいう変人は、あたしの隣に断りもなしに腰を下ろした。

あたしは少し反対側にずってやった。


「あ、俺が座るスペース空けてくれるって?」

「違います」

「おじょーさん、ホント手厳しいね」


ちょっと愉快そうな口調。