「――――っ」
広がる光景に、息を呑んだ。
時間が止まったような感覚って、たぶんこれ。
……なるほど。
これは、ホントに、ビックリ箱。
「……すげえ」
あたしの隣で、やっとの思いでそう言ったらしいハルセを見上げて、あたしは笑う。
「ね、来てよかったでしょ」
「……うん」
小さくうなずいて、笑うあたしを見下ろし、微笑んだハルセ。
そんなハルセを想うあたしの気持ちも、もしかしたら、ビックリ箱だったりするのかも。
“好き”の箱が、“愛”に変わっちゃう、とか?
もうそうなってるんじゃないかな、なんてね。
そんな、バカみたいな、でも幸せなことを考えながら。
ハルセのあたたかい手を握りしめて。
片手に握った、あの写真を思い出し。
水面を覆う霧が、朝日の光で黄金に輝く、その名に相応しい幻想的な湖の風景を。
あたしは静かに、見つめていた。
【End】


