「“洗ってないから?”じゃなくて、洗ってよ」

「いつものことじゃん」


ホント、ふざけんな、この男は。


「なにそれ、皿洗いくらいしてよ」

「はあ?」


ハルセは意味不明と言いたそうに眉根を寄せる。

明らかに面倒くさそうな雰囲気。

イライラ。


「ハルセは、」

「あ?」

「あんたはあたしのことをなんだと思ってんのよ!」

「なにって……」

「お手伝いさんとかでも思ってるわけ!?」

「別に思ってねーし」

「じゃあちょっとはなんかしてよ!いっつもあたしばっかりにさせてさあ!」

「なんなのお前……」

「は?」

「今日なんかウザイ」

「…………ッ」


“ウザイ”


ぶちりっ


あたしの頭のどっかで、そんな音が響き渡った。

あぁ、なるほど。

これのことを言うのか。

堪忍袋の緒が切れた、って。