あたしの知らないところで、あたしのことを考えてくれているハルセが知りたかった。
だから聞いた。
「どういうこと、ですか……」
「そのまんま。“笑ってくれない”って。もともと感情を表に出すタイプじゃない子だって聞いてたけど、でも“それとは違う気がする”ってさ」
「…………っ」
「“どうしたらいいか”って聞かれたから、素敵なアドバイスをしてあげたのが今日」
「ぜんっぜん素敵じゃねえしむしろサイテーだしふざけんな……」
頭を抱えるハルセを横目に、あたしはトーヤに問いかける。
「どんなアドバイスしたんですか?」
「え?まあ、“とにかく面倒くさがって怒らせてみろ”ってアドバイス」
サイテーだ。
「なんで怒らせなきゃなんないの……」
「だってほら、人間って、一回でいいから感情爆発させると、そのあとってなんか感情豊かにならない?」
「…………」
「泣きたくなるし、泣いた後は疲れるし、そのあとはちょっとのことで嬉しくなるし、笑いたくなるし」
「…………」
「実際、セナノちゃんそうだったでしょ」
そう聞かれて、あたしは何も言えずに、ただ首を縦に振る。
泣いちゃったし、我慢せずになんでも言えたし、感情をムリに抑えることをしなかった。
……不思議。
なんて思いながら、テーブルを見つめるあたしに、トーヤは続ける。


