「はいはい、そんな嫌そうな顔をせずに。最初から最後まで話してくれたまえハルセくん」

「まあ、話すけど……」

「え?なに?照れ臭い?」

「違っ……」

「しょうがないなあ。ヘタレな弟のために、お兄様が話してあげようね」

「うっせ黙れッ!ヘタレじゃねえ!」

「そ?じゃあどうぞ話してくださいな」

「――ッ!セナノッ!」


口論の最後に突然名前を呼ばれて、あたしは弾かれたように「え、はいっ」と顔を上げる。

顔を上げたら、眉根を寄せてちょっと怒ったような不機嫌なような表情をした、ハルセと目が合った。

ハルセは言う。


「俺が悪かった」

「…………っ」

「ごめん」

「……うん」


まさかここで謝られるとは思ってなくて、あたしは一言うなずくことしかできなかった。

それを見届けてから、ハルセは再び口を開く。


「……っつか、種蒔いたのは俺かも」

「……え?」

「相談してたんだよ、セナノのこと」

「…………?」

「兄貴に」


一番に思ったのは、“なんで?”ってこと。