――つまりは。
今日ハルセが迎えに来れなかったのもあたしを怒らせたのも事態を悪化させたのも、全部トーヤの仕業だったってこと。
「セナノ迎えに行けなかったのは、コイツが来てたから。追い出すためにどんだけ時間食ったか……」
ため息をつきながらテーブルに頬杖をつくハルセ。
すべての元凶らしいトーヤは、笑える状況下に居ないはずなのに、何故か楽しそうに笑みを浮かべている。
いまだに放心状態に陥っているあたしは1人、ぼけっとして2人を見た。
「えっと……まったく意味不明なんだけど……」
「セナノちゃんはあれかな。理解力低い子?」
「ちゃんと説明されたら理解します!」
「え、説明したでしょ?すべての火種は俺」
なんでそう自信満々に言えるんだろうかこの変人は。
「それはわかりましたけど、あたしを怒らせたのもトーヤさんって、どういうことですか」
「あー、うん。ハルセ、これはもう包み隠さず話した方が早いよ」
「マジかよ……」
ニコッと笑ったトーヤとは対照的に、心底嫌だと言いたそうなハルセの態度。
あたしはちょっとムッとする。
だってあたしには全部知る権利があると思うし。
怒って泣いて疲労蓄積させられたあたしの身にもなってほしい。
人生どん底みたいな気分を味わわされたあたしの気持ちの行き場はどこにあるの。
そう思ったら、正座した膝の上に置いていた手が拳を作ってた。
ギュッと力を籠めたら、爪がてのひらに刺さって少し痛い。
そんなあたしを知ってか知らずか、トーヤが能天気な口調で言う。


