っていうか、やっぱり兄弟なのか?

まさか。

だってなんか、全然似てないし。

容姿は2人とも整ってるんだけど、でも性格が真逆。

兄弟って、こんなに真逆になるんだろうか。

まあ、兄弟って言っても、いろいろあるんだろうけど。

ひとりっ子のあたしにはわからない。

……なんて、ひとりっ子を嘆くより、もっと気にしなきゃいけない言葉をハルセが言ってると思うんだけど。

そう。


あたしの居場所を嘘ついてしかも電源切ってたっていう、トーヤの“裏側”。

あたしから見た、トーヤの“裏側”。

ハルセから見た、トーヤの“表側”。

じゃあトーヤは何。


……あぁ、もう、わけがわからない!


「おいこらそこの2人ッ!」


バンッ!とテーブルを叩いて、あたしは声を上げた。

途端に口を閉ざしたハルセ、トーヤは相変わらず愉快だと言いたそうな顔であたしへと視線をよこした。

そんな2人を交互に見つめて、あたしは言う。


「2人でケンカされても、あたし意味わかんないんですけど」

「おっと、そうだった。ってことで、ハルセ、レッツ説明」

「もしかしてお前何も教えずにセナノ連れ回してたのかよ」

「いやー、だってほら、謎めいた紳士の方が魅力的かなと思って」

「4回死ね。地獄に落ちろ」


ハルセは吐き捨てるように怨念のセリフを口にして、あたしに顔を向ける。


「セナノ」


あたしの名前を呼んでから、ハルセは隣に居たトーヤを嫌そうに指さした。


「全部、このクソ兄貴のせい」