あたしは特に深くは聞かず、食べ終えたカップを捨て、ついでにトーヤの使ったスプーンも一緒に洗う。
それから再び座ったあたしに、トーヤはくすくすと笑った。
「セナノちゃん、ホント律儀だね」
「いや、まあ、慣れてますと言いますか……」
「そっか」
トーヤは笑いながら、金鱗湖の写真を指で弾いた。
そして、ぼそっと。
「……こんないい子が彼女なんて、ホントムカつくねえ」
「……はい?」
静かに呟かれた言葉の意味が分からず、あたしが首を傾げたそれと、同時。
――バンッ!
と、玄関のドアが勢いよく開く音と共に、
「マジふざけんなよッ!ンのクソ兄貴がッ!!」
息を切らしてそう叫ぶ、あたしの恋人、ハルセが飛び込んできた。


