瞼を持ち上げると、見透かすような瞳とぶつかった。

“裏側”を見据えようとする細められた瞳に、呼吸を忘れそうになる。

しかしそれは、1秒足らず。

瞬きした次の瞬間には、トーヤは微笑を浮かべていた。


「答えは自分で見つけな?」


言いながら、彼は空になったプリンのカップとスプーンを持って立ち上がる。

それを流しに置いてからあたしを振り返り、


「ちょっと電話してくるね」

「あ、はい……」


曖昧にうなずいたあたしを見届けて、セールで買ったらしい草履を履いて玄関を出て行った。

1人残されたあたしは、見下ろした先にあったプリンを掬って口に入れ、さっきのトーヤの言葉を思い出す。


“ビックリ箱”

トーヤが例えたのは、金鱗湖。

なんでもないような湖。

それが、ビックリ箱だとしたら。

あたしが陥っているこの現状が、ビックリ箱のようなものだってこと?

どういう意味?

一生懸命考えてみたけど、まったく意味が分からない。

答えが見つからない。


考えながら食べていたプリンも残り少なくなってきた時、トーヤが何故か笑いながら部屋に戻ってきた。


「……あの、なに笑ってるんですか?」

「え?あー、いやちょっとね」


ハッキリしない答えを返し、トーヤはさっき座っていた場所に腰を下ろす。