「あ、写真……」
「え、なんだと思ってた?」
「何かよくわからない紙切れだと……」
「なにそれひどい……」
「すみません……」
そう謝ったところで、“あれ?”と首をひねる。
あたし今、何も考えずに、思ってること言った?
いつもなら、ものすごく考えて、相手とケンカにならないように言葉を発しているのに。
あたしは今、そんなことまったく考えないで、トーヤに思いを口にした。
不思議なこともあるものだ。
トーヤはなんとなく拗ねたような表情で、テーブルの上の紙切れ、否、写真を集めて束ねていく。
あたしはトーヤの機嫌を直す方法として、空いたスペースにプリンとスプーンを置いて、すぐ傍にあった写真を手に取った。
「あ、あの、これ全部なんの写真ですか?」
「うん?えーっと、旅先の思い出的な?」
「旅したところ、全部写真で撮ってるんですか」
「もちろん」
「ってことは、これの他にもあるってこと……?」
「うん、そりゃもうたくさん」
「どういうところ旅してるんですか……?」
「とりあえず、日本の有名どころ。たまに海外も行くけどね。今は日本の隠れ名所的なところ回ってるかな」
「そうなんですか……」
「ちなみに、今セナノちゃんが持ってる写真は、ついこの間行ってきたところ」
言われて、手に取っていた写真を見つめる。


