「んー、まあ俺がどんな食生活をしているかは置いといて。どれ食べる?」
「……えっと、じゃあ、プリンください……」
「オッケー。プリンね。じゃあ、焼きプリンかクリーム乗ったヤツかプッチンプリンか……えーっとそれからバナナプリンかバケツプリンかカラメル抜いちゃいましたプリンか、」
「焼きプリンください」
「はいよー」
まだまだ続きがありそうなトーヤの言葉を遮って、あたしは注文を口にする。
どれだけのプリンがあの冷蔵庫に詰め込まれているのか。
考えるだけで恐ろしい。
……っていうか、バケツプリンって冷蔵庫のどこに入ってるんだろうか。
そんなことを考えているあたしの耳に、「よし、じゃあ俺はワラビ餅的プリンにしよう」とかいう声が聞こえてきたけど、たぶんあたしの聞き間違い。
冷蔵庫を閉めて戻ってきたトーヤから焼きプリンをお礼と共に受け取り、ついでに渡されたスプーンを手に取る。
でも置く場所がない。
テーブルの上は、よくわからない紙切れで埋め尽くされているから。
だから右手にスプーン、左手にプリンを持ってどうしようとテーブルを見つめるあたしに気が付いたのか、トーヤが「おっと」と。
「ごめんごめん。ちょっと片づけるね」
「あの、これなんですか?」
「これって、これ?」
自分の目の前にあった紙切れを、“裏返して”あたしに見せたトーヤ。
紙切れだと思っていたそれは、写真だった。
どこかの風景を写した一枚。


