ここに長居するって、つまりはこの辺に有名どころとか、旅するようなところがあるってこと?
そんなのあったっけ?
そういえばあたしは、この土地のことをよく知らない。
ハルセはどこにも連れて行ってはくれないし、この土地のことを話してもくれない。
2人でどこかに行ったことなんて、あんまりないし。
……って、これって、ホントに付き合ってるって言えるんだろうか。
携帯で連絡は取るけど、こうやってたまにあたしが泊まりに来るけど。
でもなんか、ちょっと、寂しいかもしれない。
もしかして、ハルセはあたしのこと、特に好きじゃない、とか。
もしかして、あたしばっかりハルセのこと好きなのか。
そうなのか。
なんて、こんなこと考えてるあたしってホントウザイ。
自分でもウザイと思うから、他人にはもっとウザイように思えるんだろう。
でも悔しいじゃないか。
もしそうだったら、あたしがすっごく惨めじゃないか。
「……くそう」
思ったことが、予期せず口をついて出た。
「え?なに?“クソ”?こらこら、女の子がそんなこと言っちゃいけません」
「違います!」
「冗談だよ、冗談」
ちょっとネガティブになっても、トーヤのせいでその思考は迷子になる。
けど、それがこの人の慰め方だったりするのかも。
厄介な慰め方だけど。