「そんなわけだから、すごく気になる」

「はあ……」

「ここでずっと膝抱えられてても俺が困る」

「…………」

「健気な乙女をこんな駐車場に1人置いて帰るなんて俺にはできないね」

「…………」

「もし帰ったとしても、気になって眠れない」

「…………」

「ご飯も喉を通らなくて俺が倒れたらセナノちゃんどうしてくれるのかなー」


どこまで言いがかりをつけるつもりなんだろうかこの変人紳士は。

そこまで気にしてもらわなくても結構だ。

その前に、この人が倒れるなんてことが想像できない。

マイペースに悠々と生きてそうなトーヤが倒れるなんて、あたしには到底考えられない。

でもたぶん、そんなことを言ったところで、このペテン師(仮)が引くとも思わないけど。

何が何でも言いくるめられる。

そんな気がする。


「どうする?」


トーヤは相も変わらず、愉快そうな目であたしを見上げる。


「来る?来ない?」

「……その」

「安い服着てるからって、おんぼろアパートには住んでないよ?」

「はあ……」

「それなりに片づけてるつもりデス」

「そうですか……」

「いろいろと不安なら俺は外で寝ますよ」

「それはちょっと……」