「……ふざけんなっつーの……」


ハルセの家のキッチンに立った瞬間、ゲンナリした。

ホントに。

心の底から。

思わず、普段よりも口の悪さが際立つセリフを吐いてしまった。

ありえない。

ホント、ありえない。

今の今まで電車に揺られて、数時間かけてここまで来たっていうのに。

ハルセが迎えに来れないって言うから、買い物ついでに近くのスーパーに寄って、荷物と買い物袋抱えてここまで来たっていうのに。

信じらんない。

キッチンの流しには、コップとかお皿とか、とにかくそういう食器類が使用済みの状態で放置されていた。

これじゃ料理とかする前に、洗い物から始めなければならない。

そんなのってない。

本音は、疲れたから一眠りさせてほしい。

でもあたしはここに来るまで何も食べてなくて、ハルセも食べてないっていうから、軽く何か作ろうと思ったわけで。

なのに。


「……サイアク」


この放置された食器を洗うところから始めなければならないなんて。

無意識の内に、ため息が出た。

けど、まあ、わかってる。

ハルセが面倒くさがりなのは知ってる。

食器を洗ってないとか、洗濯物溜めちゃってるとか、家事全般を怠っていることは、知ってる。

もう1年以上の付き合いだから、その辺は理解してるつもり。