あたしは顔も上げずに、小さくため息を吐く。

そんなあたしの呆れに気づいているのか、いないのか。

トーヤはガサゴソとコンビニ袋を漁るような音を立て、何かを取り出す。

それから、取り出した何かを振ったんだと思う。

ちゃぽん、と水の揺れる音がした。


「でも残念。俺もう一個買ってんだよね」

「…………」

「ってなわけで、これはキミにプレゼントフォーユー」


言葉がおかしいと思ったけどもう何も言う気になれなくて、あたしはしかたなく頭に乗せられたタピオカジュースを手に取った。

……あ、しまった。

財布とか全部、ハルセの部屋に置いたままだし。

どうしよう、お金返せない。

やっぱりこれ、返そう。

そう思って、顔を上げてトーヤへと向いたあたしに、彼はストローのみを咥えながら首を振った。


「キミの考えてること、当ててみようか」

「……はい?」

「“お金持ってないからこれ返そう”」

「…………っ」

「ビンゴ」


指で挟んだストローの先端をピッとあたしに向けて、トーヤは口角を持ち上げて微笑を浮かべる。

……的確すぎて怖いかもしれない。

図星も図星で、何も言えないままのあたしに彼はストローをジュースに挿し込みながら続ける。