Never Magic

ネックレスをつけた僕らは、家を出た。
暑い。夏だから暑いのはあたりまえなのだが、人間の世界は魔界より暑い。
地球温暖化とか、この前テレビのニュースでやっていたのを見た。
地球も大変だな。魔界はそんな事がないから安心だ。
そんな魔界は平和過ぎるくらい。人間界は何とも残酷な世界である。
人を殺したかったから殺すだの、そんな言い訳が通るわけがない。
人を殺したかったって、そんな感情を持つのもどうかと思うけどさ。



近くに神社があって良かった。涼む事が出来るし。
神社には桜の木が生っていた。その木陰で休んでいる。
何故かと言うと、お寺に行く為には、長い階段があり、それを登らなきゃいけないのだ。
暑い上にそんなのを休まず登ったら脱水症状を起こしそうである。
途中で自動販売機があったから買っておけばよかった。

「暑いー…これも呪い??」

「違うと思う…」

短い会話が終わった。
暑いから何も喋る気にならない。
昨日はそんなに暑くなかったのに…。

「この階段登るの…?」

「そうだけど…」

「嫌だぁ………そうだ!ゆっきーの魔法で上までワープで」

「暑くて魔法を発動出来ない…」

「そんなぁー」

朔は余計にダランとした体になる。
確かに上まで登れば良いんだろうケド、僕だけが疲れるので、却下。
朔だけが楽をしようなんて僕が許しません。



†10分後…†



僕らは休んで階段を上がった。辛かった。
こんなにも疲れるなんて初めて。
朔も「もう駄目ぇー」などと言って僕の足を掴んできた。
僕はそれを払いながら上がってきた。
上がるとお寺が建っていた。
とても閑としている。流石お寺。

「よし!御願いしてくる!」

早速お寺の前まで走り、お祈りをしている。
僕も歩いてお寺の近くまで行き、一緒にお祈りした。
僕の祈り事は、『残りの皆が見つかるように』である。
残りの六人を無事に見つけて、早めに魔界へ帰りたいものである。

「よし!願い終了!ささ、早く食べ歩きツアーに行くよ」

「何で……」

「御願いしたから呪いがなくなったと思うんだよねー♪」

祈った後の朔はとても機嫌が良い。
まだ効果が出たわけでもないのに…。まぁ、呪いなんてないからね。